ローマ帝国の第9代皇帝。4皇帝内乱の時代（68年6月～69年12月）に終止符を打ち、フラウィウス朝を創始しました。あとを継いで皇帝に即位したティトゥスとドミティアヌスの父にあたります。お金に執着した皇帝で、74年に有料の公衆便所を設置しましたが、あまりのセコさに敵対者の嘲笑を受けました。それに対する反論のPecunia non olet（金は臭わない）は金銭に貴賎がないことを示す有名な文句となりました。息子のティトゥスが反対した時に、有料公衆便所で稼いだ金貨をその鼻先にかざして「臭うか？」と訊ねたとも言われます。また現在でもヨーロッパの公衆トイレは、ウェスパシアヌスの名前（正確にはその各国語への翻訳）で呼ばれます。表文字IMP CAES VESP AVG CEN (ほとんどの古代ローマコインの文字の配列は、外向きの右回りとなっていますが、このコインは内向きの左回りとなっています)表説明IMP : IMPERATOR インペラトール (最高司令官)CAES : CAESAR (カエサル) (後継者・副帝)VESP : VESPASIANUSAVG : AUGUSTUS アウグストゥス (尊厳なる者)CENS : CENSOR : ケンソル (監察官)コイン肖像月桂冠をいただき、右を向くウェスパシアヌス裏文字PONTIF MAXIM (ほとんどの古代ローマコインの文字の配列は、外向きの右回りとなっていますが、このコインは内向きの左回りとなっています)裏説明PONTIF : PONTIFEX : ポンテフェックス (神祇官・司祭)MAXIM : MAXIMUS (最高)上記文字列で、PONTIFEX MAXIMUS ポンテフェックス マクシムス (最高神祇官) を表します。コイン肖像皇帝ウェスパシアヌスは右向きに椅子に座り、右手で王笏を保持し、左手にオリーブの枝を持っています。参照番号RIC 546, Sear 2305, RSC 387掲載画像3枚目と4枚目は、現存する頭像から、リアルに絵画したもので、当時はこんな感じの皇帝であったと推察されます。皇帝就任間もない頃と晩年の頃。